Webディレクターは何が身につくの?キャリアパスに悩む3つの理由
Webディレクターは業務の範囲が広いため、キャリアパスがぼんやりとしがちです。「このままWebディレクターを続けていて、将来性はあるのか」「自分の経験は転職に使えないのでは」と漠然とした不安を抱くこともあるでしょう。今回は、Webディレクターがキャリアパスで悩む理由と、制作会社と事業会社それぞれで身につくスキルを紹介します。Webディレクターの経験から何が学べるのか、キャリアパスの見直しに役立ててください。
Webディレクターがキャリアパスで悩む3つの理由
Webディレクターを経験して3~5年が経つと、将来のキャリアパスに不安を覚えはじめる方が多いようです。その理由は、大きく以下の3つです。
スペシャリストに囲まれて働いているから
Webディレクターの仕事は、Webプロジェクトを発足から納品まで管理・監督することです。プロジェクトの全工程に携わるため、幅広い知識とコミュニケーションスキルが求められる、いわばジェネラリスト的な役割です。
そんなWebディレクターが制作現場で共に働くのは、エンジニア、プログラマー、コーダー、ライター、デザイナー、アナリスト、SEO担当者など、専門技能を持つスペシャリストたちがほとんどです。
日頃からスペシャリストに囲まれているWebディレクターは、「自分は何ができるのだろう……。」「自分の専門性は何なのだろう……。」と、キャリアパスに雲がかかったような気分に陥りやすくなるようです。
実績を評価しにくく、自分の市場価値が分かりにくいから
Webディレクターの仕事は、Webプロジェクトを管理することです。プログラマーのように「自分はこの言語がこの程度使える」という客観的な指標や、デザイナーのように「自分がサイトのこの部分を担当した」とポートフォリオに示せる要素が少ない職種だと言えます。
そのため、 Webディレクターは自分の市場価値を測りにくいことが悩みの種になりがちです。いざ転職や独立を考える際も、周囲のスペシャリストと比較して「このまま何も残るものがない状態で大丈夫なのだろうか……」と不安を抱えやすいのです。
Webディレクターのロールモデルが少ないから
「コンテンツマーケティング」という言葉が認知され、企業がWebサイトを使って販売促進やPRを本格的に行なうようになったのは2014年頃からです。Web業界はまだまだ市場が若く、Webディレクターのキャリアパスとして参考になるロールモデルが少ないのが現状です。キャリアの先が見えず「これから自分はどうなるのだろう……。」と、自分の現状に焦りを覚える方もいます。
制作会社、事業会社、フリーランス……Webディレクターの仕事で身につくスキルとキャリアパス
Webディレクターは業務範囲が多岐に渡り、参考になるキャリアパスが描きにくい職種です。ここでは「制作会社」「事業会社」「フリーランス」に転職したWebディレクターが、それぞれどのようなスキルを身に着けて活躍しているのかをお伝えします。
自分が学びたいことや深めたいことが、どの環境で身につきやすいか参考にしてください。
制作会社のWebディレクターが得られるスキル
制作会社のWebディレクターは、以下のようなキャリアの魅力があります。
・多種多様なWebサイト制作に携われる
・人脈が広がる
・相手のニーズを満たせる交渉力が身につく
多種多様なWebサイト制作に携われる
制作会社のWebディレクターは、さまざまな企業のWebサイト制作に携わることができます。業界の幅広さはもちろん、制作するWebサイトも、コーポレートサイト、ブランディングサイト、自社メディアやECサイトに至るまで、目的によって多種多様です。様々な分野の知識や制作進行のノウハウが身につくでしょう。
人脈が広がる
制作会社のWebディレクターは、短期間で多くの企業のWeb制作に携わることになります。クライアントとひんぱんに連絡を取り合うことも多い役割なので、必然的に人脈が広がります。特に中小企業のWeb制作案件は、クライアント側の担当が会社役員や代表取締役であることも多く、濃い人脈が作れるかもしれません。
相手のニーズを満たせる交渉力が身につく
制作会社で働くWebディレクターは、制作物によってクライアントの問題を解決することが最大のミッションです。単価の高い案件では、受注に至るまでに厳しい質疑応答や他社とのコンペが行われることもあります。クライアントの不安を把握し、ニーズを満たす提案ができる交渉力が身につくといえるでしょう。
このように、制作会社のWebディレクターは、相手のニーズを的確に満たす力と広い人脈が身につくのが魅力です。
事業会社のWebディレクターが得られるスキル
事業会社のWebディレクターは、以下のようなキャリアの魅力があります。
・Webサービスを継続的に運用できる
・マーケティングスキルが身につく
・データ分析やサイト改善の知見が身につく
Webサービスを継続的に運用できる
自社のサービスで利益を生む事業会社では、Webサービスを継続的に運営・改善するノウハウが学べます。制作会社のWebディレクターは、クライアントに求められた制作物を決まった納期までに作ることが主な業務なので、継続的な運用にはあまり携わりません。事業会社のWebディレクターは、サービスの構想からテコ入れまで腰を据えて携わることができます。
マーケティングスキルが身につく
自社のWebサービスで利益を出すためには、ターゲットユーザーを定め、その動きを想定して制作物に落とし込む必要があります。事業会社のWebディレクターは、ターゲットやペルソナの設計、カスタマージャーニーマップの作成など、制作進行だけではなくマーケティングの考え方も求められます。Webサイトだけでなく、SNSなどの外部のチャネルを組み合わせた施策も担当できるかもしれません。
データ分析やサイト改善の知見が身につく
Webサイトに人を呼び込むためには、広告、メールマガジン、SNSなどをフル活用する必要があります。効果的なプロモーションを実現するためには、アクセスデータを的確に分析するスキルが求められます。データをもとにユーザーの行動を読み解き、WebサイトのUI・UXの改善を積極的に提案できます。
このように、事業会社のWebディレクターは、Web制作にとどまらない知見や分析力が身につくのが魅力です。
経験を積み、フリーランスのWebディレクターとして働く道もある
ここまで紹介したように、制作会社と事業会社では、身につけられるスキルが異なります。しっかりと実績を積めば、フリーランスのWebディレクターとして独立することも夢ではありません。
制作会社で活躍したWebディレクターは、人脈と提案力で案件を受注し、幅広い制作物を手がける働き方ができるかもしれません。事業会社で活躍した Webディレクターは、自分でWebサイトを制作してマネタイズしたり、知見や実績を生かしてコンサル的な業務に携わることもできます。
決して楽な道ではありませんが、独立・フリーランスは自由に働くことのできる、夢のあるキャリアの一つです。
Webディレクターはキャリアパスも可能性も幅広い!
ジェネラリストであるWebディレクターは、自分が何を身につけてきたのかが目に見える実績として残りにくいため、将来に漠然とした不安を抱きがちです。
今まで紹介していたように、Webディレクターの業務内容は多岐に渡ります。これは裏を返せば、それだけ可能性が多い職種だと言えるでしょう。これまで身につけてきたこと、今後身につけられることを知り、自分のキャリアプランについて考えてみてください。