派遣と業務委託、どっちが自由に働ける?特徴、メリット・デメリットを徹底比較

2019/06/27

「正社員や契約社員として会社に縛られて働くのは嫌だ! もっと自由に働きたい!」と思った時、選択肢にのぼる働き方が派遣や業務委託です。今回は派遣と業務委託それぞれの特徴や違い、メリット・デメリットについて解説します。自分にあった働き方を見つけるために、ぜひ参考にしてください。

派遣と業務委託の特徴

まずは派遣と業務委託それぞれの特徴を紹介していきます。

派遣は、派遣会社に雇用された労働者が、企業に労働力として派遣される形式です。勤務先は派遣会社ではなく依頼主の会社で、原則、契約時に決められた仕事を行います。日本では1986年の労働者派遣法施行によってスタートした働き方で、現在でも多くの会社が派遣を利用しており、派遣は身近な存在になっています。
業務委託は「請負」とも呼ばれ、請負会社に所属する労働者、または個人事業主として活躍するフリーランスが、企業から短期的なプロジェクトを請け負う働き方です。業務委託も依頼主の会社に常駐することがあるため、両者は混同されがちです。しかし、両者には明確な違いがあります。

派遣と業務委託の違い

派遣と業務委託の違いは、大きく以下の2つです。

・誰の指示に従うのか
・何に対する支払いか

続いての段落で詳しく説明します。

派遣と業務委託の「誰の指示に従うのか」の違い

派遣は「労働力を提供する」位置付けであり、派遣先の指示に従って業務を進めます。
一方の業務委託は、プロジェクトを請け負った人と依頼主は対等な契約関係であり、業務の進め方について指示を受ける必要がありません。請負会社に雇用されている場合は請負会社の指示を仰ぐ必要がありますが、フリーランスであれば全て自分の裁量で業務を進めます。業務委託で依頼主の会社に常駐すると、業務委託と派遣を混同して指示を出されることがあるかもしれません。しかし、業務委託の労働者を指揮命令することは「偽装請負」として法律で禁じられています。

派遣と業務委託の「何に対する支払いか」の違い

派遣と業務委託は、支払いの形式もそれぞれ異なります。
派遣の目的は「労働力の提供」です。そのため、労働力を提供した時間に応じた「時給」で賃金が支払われます。業務委託の目的は「業務の完遂」です。働いた時間を問わず業務そのものに責任を負い、成果に対して「報酬」が支払われます。

派遣と業務委託にはどんな求人があるの?

ここからは、派遣と業務委託にどんな求人があるか紹介します。

派遣の求人は一部制限があるが業種はさまざま

派遣には一部の職種(※)を除いて幅広い企業や職種の求人があるので、就職先選びに困ることはほとんど無いでしょう。事務や経理だけでなく、WebディレクターやWebデザイナー、Webコーダー、Webマーケターなど、IT・Web系の職種も積極的に求人を募集しています。
(※)港湾での物流業務や警備業務、医療業務や弁護士など士業の派遣は法律で禁止されています。

業務委託の求人は、請負会社経由の依頼が中心

様々な業界・業種で人材不足がさけばれている昨今。これまで社内で対応していた一部の業務を、外部に委託するという方法をとる企業が増えてきました。委託先には、大きく分けて2つ、請負会社と個人のフリーランスの選択肢がありますが、様々なリスクを考慮して、万が一の場合のサポート体制がないフリーランスよりも請負会社を選ぶ企業が多いのが実情です。そのため業務委託は、まだ請負会社を経由した求人が中心です。
請負会社経由の求人は、転職サイトに掲載されていることもありますが、業務委託同士の口コミなどで募集枠が埋まってしまうことも多く、求人の情報量としては派遣に比べて豊富とは言えません。求人があった場合には、すぐに応募するようにしましょう。

なお、業務委託の形態は厳密に2種類あります。

・請負…成果物を納品することで報酬を受け取る
・委任…業務への対価として報酬を受け取るが、納品物はない

「請負」は、ホームページを制作する、プログラムを開発する、デザイナーとしてクリエイティブを制作するなど、具体的な成果物が発生する場合の契約形態です。一方の「委任」は何かを納品する必要がありません。Webの運用・保守やカスタマーサポートなど、業務をすること自体が成果になる場合の契約形態です。

派遣と業務委託、それぞれのメリット・デメリットは?

続いては、派遣と業務委託それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
前提として以下の「メリット・デメリット」は、自分がどんな働き方をしたいかによって見方が変わることに留意が必要です。自分にとっては何がプラスで、何がマイナスなのかを見極めるために役立ててください。

派遣のメリット・デメリット

派遣社員のメリットは以下の3つです。

・メリット1:労働法や派遣会社に守られている
・メリット2:パートやアルバイトと比べて時給が高い
・メリット3:残業が少ない

派遣は労働法や派遣会社に守られているため、トラブルが起きた時に味方になってくれる存在がいる安心感は大きいでしょう。派遣社員は同じように時給で働くパートやアルバイトと比べて時給が高く設定されており、正社員や契約社員に比べて残業が少ないのも特徴です。こうした他の雇用形態と比べた待遇を魅力に感じる人もいます。

一方で、派遣社員のデメリットは以下の3つです。

・デメリット1:業務の遂行に裁量がないことが多い
・デメリット2:突然契約を切られることがある
・デメリット3:1つの職場で働き続けられるのは最長でも3年

派遣社員は派遣先の指示に従う必要があるため、業務に対する裁量は小さいのが実情です。また、企業側が派遣社員の交代を希望したり、経営状況やプロジェクトの終了などによって派遣契約そのものを打ち切りとなったりする場合があります。
加えて、派遣社員は法律で守られている反面、ルールを厳守しなくてはなりません。例えば1つの職場では3年以上働くことができない規定があるため、派遣で働く以上は職場を転々としなければなりません。変化が好きな人にとってはメリットですが、環境の変化が苦手な人にはデメリットになりえます。

業務委託のメリット・デメリット

業務委託のメリットは以下の3つです。

・メリット1:自由に仕事を進めることができる
・メリット2:自分の専門や好みによって仕事を選ぶことができる
・メリット3:一度に大きな金額を稼ぐことができる

成果を求められる業務委託は、裁量の大きさが最大の魅力です。「今月は頑張ったから来月は1ヶ月休み」など、通常の会社員にはできない働き方が可能です。また、業務委託は具体的な業務内容をもとに仕事を選ぶことができるので、裁量とあいまって自分の専門性や好みを最大限に生かすことができます。プロジェクトごとに報酬が発生するため、1回あたりの支払い単価が高いのも特徴です。請負会社に所属している場合は月額報酬になりますが、それでも同じ業務内容の社員に比べて高水準になりやすいといえます。

一方で、業務委託のデメリットは以下の3つです。

・デメリット1:納品物への責任を負わなければならない
・デメリット2:仕事の獲得に苦労する場合がある
・デメリット3:フリーランスの場合は労働法が適用されない

成果主義なので、一度契約を交わすと必ず納品しなければなりません。たとえ体調が悪くなっても、期日までに納品しなければ契約違反であり、報酬は支払われません。業務の要件が詰めきれずに手戻りが多くなると、報酬が実際の働きに見合わなくなってしまうリスクもあります。成果主義ということは、それだけの実力を求められます。経験や知識が少ない状態では、安定して仕事を獲得することは難しいでしょう。
また、フリーランスの場合は労働法が適用されないため、契約違反などは自衛しなくてはなりません。確定申告なども自分で行う必要があり、負担が増えることは理解しておきましょう。

派遣と業務委託、あなたはどっちに向いている?

派遣と業務委託のメリット・デメリットを比較して、どちらが自分に向いているかが見えてきましたか。

・決められた範囲の仕事をするほうが安心できる
・働く時間とそれ以外の時間を切り分けたい

上記にあてはまる場合には派遣がおすすめです。派遣として働くことで生活にメリハリをつけながら安心して働くことができるでしょう。一方、下記にあてはまる場合は業務委託に向いていると言えます。

・仕事の進め方や生活リズムにこだわりがある
・頑張った分だけ収入を得たい

業務委託は責任が伴う働き方ですが、成果さえ出せれば裁量を持って働くことが可能です。案件によってはオフィスに出社する必要もなく、働く時間や場所を自分で決めることもできます。派遣と業務委託、どちらが自分にとって「より自由なのか」という観点から考えて、働き方を選択してください。

悩むより行動! プロの転職支援を受けてみよう

「今よりもっと自由に働きたいけれど、派遣には抵抗がある」「かといって、業務委託は自信がない」と、ここまで読んで悩んでしまったかもしれません。そんなあなたは、求人媒体社の転職支援を受けてみてはいかがでしょうか。人材支援のプロがあなたの要望についてヒアリングし、最適な働き方を提案してくれます。無料で将来のキャリアの相談ができるので、ぜひ気軽に転職支援サービスを利用してみてください。

まとめ:自分にとっての「自由な働き方」を整理しよう

派遣と業務委託の特徴や違いについて解説しました。派遣と業務委託のどちらを選ぶにせよ「自分が何を重視するのか」「自分にとっての自由は何なのか」ということをよく考えましょう。自分の望む働き方を明らかにすることで、「自由な働き方」に近づくことができます。