求人情報などで「基本給」と記載されている場合がありますが、「基本給」と「給料」を同じものと考えている人は少なくありません。ここでは、そもそも「基本給」とは何か?から解説。「基本給」を理解していないと損をしてしまう場合もありますので、この機会にしっかりと正しい知識を身につけましょう。
まずは「基本給」とは?また、「給料」との違いを理解しましょう。
「基本給」とは、その名前の通り、基本となる給料のことを指しており、通勤手当や役職手当、歩合給などを含まない賃金のことです。つまり、「基本給」は月の働き方によって変動しない賃金で、最低限保証されている賃金のベースといえます。
「基本給」の金額は会社の規定によって異なり、多くの場合、独自の「基本給表」を持っています。一般的には職務や業務の難易度があがるほど「基本給」が高く設定されており、年齢の高さや勤続年数の長さにも比例するようです。
ちなみに「給料」とは、「基本給」と“様々な手当”を含んだ金額のことを指しており、「基本給」は「給料」の一部ということになります。なお“様々な手当”は、毎月一律で支払われる手当と、毎月変動する手当(基準外給与と呼びます)に分かれます。いくら給与の総額が高くても、毎月変動する手当の割合が高ければ、収入にリスクを抱えているといえるでしょう。
「基本給」が低いと収入にリスクがあるだけではありません。「基本給」から算出される手当などもありますので月収・年収にも影響があります。
残業代は「残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率」で算出されます。この計算式の中の「1時間あたりの基礎賃金」が「基本給」に関連する内容となります。「基礎賃金」は、「基本給」+一律で支払われている手当(正式には、家族手当と通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、賞与を除いた手当)で計算されるので、基本給が低ければ残業代にも影響があります。
ボーナスをもらったことがある人であれば知っているかもしれませんが、ボーナスは「基本給」の金額をベースに算出されることがほとんどです。たとえば、給料が30万円のうち「基本給」が20万円で、ボーナスの基準が基本給×2ヶ月分×年2回であれば、年間80万円のボーナスが支給されます。これが仮に「基本給」が15万円の場合だと年間60万円、両者を比較すると年間20万円の差額が生じます。
「基本給」の重要性を理解してもらえたと思いますが、だからこそ「基本給」の減額は避けたいところです。
ご安心ください。「基本給」は労働条件の不利益変更禁止の原則に基づき、会社側が一方的に減額できないようになっています。減額する場合には、合理的な理由と労働者本人の同意を得なければいけません。会社側の言い分が不当で一方的に減給があった場合は、未払い賃金の支払い請求などで訴えることもできます。
なお、「いつの間にか基本給が減額されていた」といったトラブルもあるようですので、注意しましょう。給与の総額が変わらなければ見逃しやすいところなおで、この内容を読んで「自分は大丈夫かな?」と感じた人もいるのではないでしょうか?給与明細を見るときには給与の総額だけではなく、「基本給」もチェックするようにしましょう。
「給料」の中で月の働き方によって変動せず、最低限保証されている賃金のベースともいえる「基本給」。残業代やボーナスの算出に関わるため、「基本給」の金額は月収や年収に大きく影響があります。就職時や転職時など、給与の総額に目を奪われがちですが、それだけで判断すると結果的に損をしてしまうこともあるかもしれません。必ず、「基本給」を確認するようにしましょう。