ひと通りの質問が終わった後、最後に想定されるのが「何か質問はありますか?」の質問。いわゆる『逆質問』は、単純に“質問があればするもの”ととらえてる人もいますが、それほど単純なものではありません。多くの場合、採用の合否を決める一要素という認識で逆質問を設けています。
面接に臨む上で決して軽視できない逆質問。ここでは逆質問を採用担当者が行う理由とすべき逆質問、すべきではない逆質問を紹介します。
3.これはNG!絶対に避けたい逆質問
NG1.事前に調べればわかる逆質問
NG2.弱気/自信がなさそうな逆質問
NG3.労働条件・待遇福利厚生に関する逆質問
逆質問は、応募者側から確認したいことを聞くことで、疑問点や不安、認識のズレなどを解消してもらうことを基本意図としていますが、企業によっては別の狙いを持って設けている場合もあります。マイナス評価になるような逆質問をしないためにも、企業側が逆質問を設ける狙いをしっかりと認識しておきましょう。
逆質問は、それまでの「採用担当者から与えられた質問に回答する」といった受動的な行動と異なり、「自らが考えた質問を採用担当者に投げかける」という能動的な行動です。一般的に能動的な行動には、個人の本音が反映されることが多く、面接時においては、仕事への興味・関心として表れやすくなります。
つまり、採用担当者はあなたの本当の興味・関心がどこにあるかを知りたく、言い換えれば仕事への熱意・意欲の量や方向性をはかるために逆質問を設けています。
ただし逆質問は“何でもすればよい”わけではありません。質問内容によっては逆に「熱意・意欲がないのでは?」と判断される場合もあるため、最大限注意する必要があります。しかしながら、それを恐れて「特にありません」と返答してしまうのもNG。採用担当者は熱意・意欲があるのか・ないのかを感じられず、人によっては「熱意・意欲がない」と判断する場合もあります。Webディレクター未経験の場合、採用を決める上で、熱意・意欲が大きなポイントになります。「特にありません」という返答になってしまわないように、しっかりと準備して臨むようにしましょう。
面接開始時から採用担当者とのコミュニケーションはスタートしていますが、逆質問までは採用担当者の質問に答える、“受け身のコミュニケーション”が主体。逆質問以降は、求職者からの“能動的なコミュニケーションに切り替わります。採用担当者は逆質問によって、求職者の“能動的なコミュニケーション力”、言い換えれば情報整理能力/質問力などをはかりたいと考えています。
逆質問は発信する内容によって、例えば「面接時に既に聞いたことを繰り返し質問していないか?」「面接の場として的外れな質問をしていないか?」「採用担当者の立場に合わない質問をしていないか?(例:採用担当者が現場リーダーだった場合に経営戦略を聞いてしまう、など)」など、様々な“能動的なコミュニケーション”を知ることができます。
採用担当者はWebディレクター未経験者を採用するにあたって、Web関連の経験・スキルがないにしても、少なくともコミュニケーション力だけは持っていて欲しいと考えています。というのも、クライアントや制作スタッフとのやりとりが多く発生するWebディレクターにとって、コミュニケーション力は欠かせない素養だからです。安易な逆質問で採用担当者にマイナス印象を持たれることがないよう、一言一句に注意を払いながら発言することを心がけましょう。
採用担当側から投げかける質問でも応募者とチームメンバーとの相性をはかっていますが、本音が出易い逆質問でも引き続き注意深くチェックしています。
というのも、Webディレクターは、チームメンバーとコミュニケーションを取りながら業務を進めることが多いポジションだからです。メンバーと上手に関われない人材を採用してしまうと、確実に全体の業務パフォーマンスが下向することが目に見えているため、採用担当としては神経質にならざるを得ないのです。
Webディレクター未経験の場合、多くの企業で求められるタイプは、成長性があることはもちろん、素直さや謙虚さであることは言うまでもありません。単に逆質問をするだけではなく、率先して勉強し、自分からメンバーに溶け込もうとする姿勢などが伝わるように意識しましょう。
前述したように、企業側には逆質問を投げかける理由がありますから、聞きたいことを全て聞けていたとしても「特に質問はありません」と返答するとマイナス評価になる可能性があります。
こちらでは自分の熱意や意欲をアピールできる逆質問、聞きにくい情報をそれとなく確認できる逆質問などをいくつかご紹介します。そのまま丸暗記するのではなく、面接内容によって使い分けられるように、準備をしておきましょう。
具体的な仕事内容や、やっておくべき勉強について聞く質問です。もちろんそれは知るべき情報ですが、本当の狙いはそれらを確認することで、仕事への意欲をアピールすることです。
とはいえ、採用から実際に働くまでの期間で、現場で求められるスキルを身につけることができれば、その努力はちゃんと会社から評価されるはずです。新しい職場で良いスタートを切るためにも聞いておきたい逆質問です。
使っているソフトやOSなどの制作環境などを聞くことで、その企業がWebディレクターの制作環境に対し、どれだけ配慮しているかが分かります。
使っているソフトのバージョンが古ければ仕事のパフォーマンスが落ちますし、ディスプレイの数やサイズによって作業スピードに影響がでるでしょう。企業の中には、Webディレクターの体調などをおもんばかって疲れにくいデスクチェアを用意しているところもあります。制作環境は、その会社で長く働き続けるための一要素です。入社前に確認をしておきましょう。
制作会社などの場合、クライアント企業の都合によって、実績をオープンにできないといったケースがよくあります。また、ホームページの更新ができておらず、古い実績しか載せていないことも少なくありません。
実はその会社で携わるチャンスがあるのに、それを知らずに「自分の求めている仕事がない」と判断して、採用を断ってしまうのは非常にもったいない話です。自身の実績にもつながる話ですので、しっかりと確認しておきましょう。
未経験のWebディレクターの方であれば教育制度について気になるところでしょう。ストレートに聞いてしまってもよいのですが、その企業風土に合わせて聞くことを意識しましょう。質問3に便乗するとスマートです。
なお、会社によって用意されている教育制度は様々です。OJT研修や社内研修だけではなく、資格取得補助、デザイン関連の書籍購入費補助、社外イベント・セミナーの受講料負担などもあります。求人情報サイトなどを見て、色々な企業の教育制度を知っておくと、教育制度の充実度を自分なりに判断することができます。
単純に配属先の部署の人数を知りたいわけではありません。この質問をすることで、その会社が抱えている業務量と、働いているスタッフの人数をはかることで、仕事の忙しさなどをイメージすることができます。
もちろん仕事を外注している可能性もあります。あきらかに人数が少ないと感じた場合には、「○○名だけで、そんなに大きな仕事をしているんですね」「外部スタッフは何人ぐらいいらっしゃるんですか」などと質問すると、聞き方としてはスムーズです。
また、同じポジション/職種の方が何名いるかを確認することによって、仕事のサポートをお願いしやすいか、休暇を取得しやすいか、などがわかります。未経験のWebディレクターの採用を考えている企業であれば単独ポジションという可能性はほとんどないでしょうが、念のため確認しておきましょう。
自分と同じような道を通ってきた先輩が在籍しているのであれば、これほど頼もしいことはありません。入社後は何かしらの教育制度が用意されていることが期待されますし、そうでないにしても教えを乞える存在になってくれるはず。現在の活躍ぶりを聞くことで、自分の将来像もイメージしやすくなるでしょう。
また教育の面だけではなく、未経験のWebディレクターの気持ちがわかる人がいることで、仕事の悩みも相談しやすく、その会社での働きやすさにもつながります。
「定時に帰れますか?」「残業は多いですか?」といった逆質問は、基本的にはNGです。「仕事のやる気がないのでは?」と採用担当に思われてしまいます。
そこで聞き方を変えたのが、この質問です。Webディレクターの方の1日の仕事の流れを聞くことで、残業の多い・少ないを、なんとなく知ることができます。
しかし最近では、採用担当側から残業の話題を出すケースも多く、その点を隠そうとする会社は残業が多いと思ったほうがよいでしょう。
逆質問7と同様、残業について確認するための質問です。逆質問7だけでは、その働き方が繁忙期に限ったものなのか、閑散期のものなのか、恒常的なものなのかが分かりません。
採用担当側から歯切れの悪い返答だったら、求職者側も相当の残業があると覚悟しておいたほうがよいでしょう。
面接時、採用担当から会社のマイナス情報を積極的に教えてくれるところは多くはありません。しかし、働く側としてはその点についても知っておきたいところです。
そこで、会社の弱みや問題点を、「課題」と置き換えて質問してみましょう。「まだまだ人事制度や福利厚生が整っていない」「制作スタッフの定着率がわるい」などの話が聞けるかもしれません。
面接は、採用企業が働き手を選ぶだけではなく、働き手も採用企業を選ぶことができる場です。その会社のプラスの情報だけではなく、マイナスの情報も引き出すようにしましょう。
自分のキャリアビジョンと、会社が求める成長イメージが近いか/離れているかを確認するのが狙いです。
両者が離れていると自分のキャリアビジョンを実現しづらい可能性があります。実務経験を積むためのステップアップの足掛かりとして考えているのであればよいのですが、長く働き続けることも想定しているのであれば確認しておきましょう。
ご紹介した質問以外にも、個人的に聞きたい質問があると思います。しかし何でも不用意に質問してしまうべきではありません。たった1つ、面接の場にふさわしくない逆質問をしてしまったことで、不採用になってしまう可能性もあります。こちらでは絶対に避けるべき逆質問をご紹介します。
企業理念や商品・サービス、取引先など、調べれば分かることを逆質問で聞くことはNGです。「企業研究をしていない」「事前準備していない」と受け取られ、マイナス評価になってしまいます。また面接で採用担当者が既に話している内容について再度聞くのも「話を聞いていない」「コミュニケーションが取れない」という判断になってしまいますから避けましょう。
Webディレクターが仕事をする上で、事前準備を行うことや相手の話を聞くことは必要最低限のスキル。事前に調べれば分かる質問や一度話した内容について再度質問してしまうことは、Webディレクターとしてのスキルがないと自ら言ってしまっているようなものです。求人情報や企業ホームページはしっかり読み込んだ上で面接に臨みましょう。
「調べればわかる質問」の例
Webディレクター未経験の方であれば不安な気持ちが強いことは分かりますが、弱気で自信がなさそうな姿勢の発言には注意しましょう。
企業が未経験の人に期待しているのは、成長へのポテンシャルです。自信過剰では困りますが、失敗を恐れ「自信がない」と二の足を踏む人よりも、「頑張ります!」と臆せず挑戦できる人を採用したいと考えます。
Webディレクター未経験者のあなたが面接にまで辿り着いたのは、「未経験でも会ってみる価値がある」と期待したからです。未経験だからこそ、前向き且つポジティブな意識で逆質問に臨みましょう。
また自分に自信がないことから企業に教育環境を求める人もいますが、会社は利益を上げるための組織であり、“学校”ではありません。会社に自身の成長を依存するような逆質問は控えるようにしましょう。
「弱気/自信がなさそうな逆質問」の例
“働き方改革”などを推し進めているクリエイティブ企業も多い中、労働条件や待遇福利厚生は企業によって差があり、是非とも確認したいという人は多いかもしれません。
しかしながら、残業や休日、給与、福利厚生についての逆質問をしてしまうと、採用担当者に「本当は仕事や会社に興味がない?」「給料や福利厚生が目当て?」など、マイナスの印象を持たれてしまう可能性があります。また、求人情報に書かれている情報について逆質問してしまったら、「調べていない」と思われてしまいます。
労働条件や待遇福利厚生についての逆質問は、極力避けた方が無難と言えるでしょう。
「労働条件・待遇福利厚生に関する逆質問」の例
逆質問は応募者側にとっては、自己アピールにつなげるテクニックではありますが、本質としては理想の職場で働くための情報収集です。自分がどんな職場で働きたいか・働くべきかを真剣に考えたら、自分だけの逆質問が生まれてくるはずです。
逆質問も面接の一部。返答次第で合否が決まることも珍しくありません。今回ご紹介した逆質問をヒントに、自分なりの考えを整理することで、面接時の緊張・不安もやわらいでいくはずです。しっかりと準備をして面接を乗り切りましょう。