退職の意思を示す退職届は、正社員だけではなく非正規雇用にあたるアルバイトでも必要なことをご存知でしょうか。企業によって口頭で退職の意思を告げ、手続きをすることは可能ですが、規定がある企業では退職届を出さないことにより、トラブルが起きてしまうこともあります。
ここでは、退職をして新しい職場への転職を検討されているアルバイトの方に向けた、退職届の作成方法と提出のコツをご紹介します。
正社員が退職する際に作成するイメージが強い退職届ですが、アルバイトでも必要な場合があります。ここでは、なぜ、アルバイトでも退職届が必要になるのか、退職届が必要になる背景とトラブル事例をご紹介します。
アルバイトの場合、退職届は絶対に必要というわけではありません。むしろ、アルバイトであれば、退職の意思を口頭で伝える人が大半でしょう。しかし、企業ごとの就業規則や慣習によって、提出が義務づけられていることもあり、円満な退職を望むのであれば、正規の手続きに則って退職の意思を伝えることが必要です。
ちなみに退職の意思を示す書類は、退職届・退職願・辞表の3種類あります。それぞれの書類で意味合いが異なるため、下記の表を参考にして作成・提出をしましょう。
退職願 | 退職したいという希望を示す書類。正式に受理されるまでは、撤回が可能。 |
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退職届 | 退職するという強い意志を報告するための書類。提出した後は、撤回することができない。 |
辞表 | 辞表は企業の役員など、一般的な雇用関係にない職を辞める際に提出する。 |
正規の手順やマナーに則らずに、アルバイトを退職してしまう事例もあります。こうした事例は、後々のトラブルに発展する可能性があるため、避けなければいけません。
・引き止められたくなくて退職したい日の直前で退職届提出
・無断欠勤で退職届を出さずにそのまま辞める
退職届の提出や退職の報告は退職希望日から数えて、最低2週間以上前に行わなければいけません。企業の規定によっては、1ヶ月以上前に申し出る必要がある場合もあるため、退職を検討している場合は、早めの相談が必要です。就職先や転職先の企業が、本人の同意を得て前職調査を詳しく行う場合、選考で不利になってしまうため、ルールとマナーを守って退職するようにしましょう。
また、前職調査を行わない場合でも、源泉徴収票をもらいに行くなど、以前の職場と何らかの形で関わりをもつ可能性もあります。退職後も気持ちよく付き合っていけるように、正規の手続きを済ませて退職しましょう。
退職しようと考えている場合、まずは、相談することが重要です。先ほど紹介した事例のような辞め方をすると、退職手続きが進められているかを把握することができず、希望した日に退職できないこともあります。特にアルバイトの場合、現場を取り仕切るアルバイトリーダーだけではなく、直属の上司にあたる社員にも相談しておくと安心です。
退職に必要な書類は、不備による処理の遅延を発生させないために、事前の確認を取っておくことが重要です。書類の作成・提出前に注意しておきたい点をお伝えします。
企業の方針によっては、アルバイトは退職届を提出する必要がない場合や、フォーマットが指定されている場合もあります。そのため、作成する前に直属の上司に確認を取っておくことが重要です。また、退職届の他にも職場によっては、貸与されていた制服の返却や、離職票の作成などの手続きが必要になることもあるため、何が必要かきちんと確認しておきましょう。
退職届は、基本的に直属の上司に提出するのがマナーです。しかし、就業規則によっては、上司ではなく人事への提出を求められる場合もあるため、退職を相談するときは提出先もきちんと確認しておきましょう。
また、提出期限を過ぎてしまうと、退職手続きが予定通り進められずに、退職日が遅れてしま可能性もあります。次の転職先が決まっている場合、入社日までに退職が間に合わない可能性もあるため、退職届の提出期限は厳守しましょう。
さらに退職届は、上司に提出した時点ではなく、人事に提出した時点を受理とみなす企業がほとんどです。この点もしっかり確認しておき、ぎりぎりに提出するのではなく、余裕をもった日数で準備することが重要です。
作成方法が難しいと思われがちな退職届ですが、実は簡単に作成することができます。文例を手本にしながら、退職届の文面をチェックしましょう。
1.退職届は、一般的に手書きの場合では縦書きで作成します。まずは、行の真ん中もしくは、やや上に「退職届」と書いてください。※横書きで作成するしかない場合は、内容は同じで、全文左詰めで書きます。
2.次の行では、行の一番下に「私事」か「私儀」とだけ書きます。
3.その次の行では、退職理由と退職日を書きます。一度提出すると取り消しができないため、退職日は間違いがないよう特に注意しましょう。
4.一行空けて、提出日を書きます。その次の行の行末に、所属と氏名を書き、印鑑を押します。
5.さらに一行空け、企業名を書き、その次の行に代表者の氏名を書きます。
退職理由として、「一身上の都合により」という表現がよく用いられます。この表現が用いられる理由は、主に2つあります。
1つ目の理由は、退職の理由を書きすぎると要点が分からなくなってしまうため。2つ目の理由としては、あくまで個人的な都合によるものであることを説明して、会社に非がないことを伝えるためです。詳しい事情は退職届に書くのではなく、相談するときに口頭で伝えるようにしましょう。
書面だけではなく、封筒の文面・提出方法にも注意しましょう。退職届は上司に直接手渡す場合でも、封筒に入れてから渡すのがマナーです。中が透けて見えない白い無地で、郵便番号を書く赤い枠がない縦長二重封筒を選び、退職届を上から三つ折りにして入れます。表面の中央やや上に「退職届」と書き、裏面の左下に所属と氏名を書きます。手渡しではなく郵送で提出する場合は、退職届を入れた封筒をそのまま送ってはいけません。さらに大きな封筒に入れて郵送しましょう。その際、送付状も入れる必要があります。
お世話になった企業で円満退職するために、アルバイトであっても、退職届のルールとマナーを踏まえて手続きを行うことが大切です。後々のトラブルにつながるしこりを残さず、次の職場で気持ちよく転職するためにも、きちんと確認を取った上で退職届を作成して期日までに提出しておきましょう。