退職理由によっては失業保険(失業手当)で損することも!?退職前に正しい知識を身につけよう。

「失業保険(失業手当)」その言葉は聞いたことがあると思いますが、退職経験がない人・失業保険(失業手当)を申請したことがない人は、なんとなく“失業した時にお金がもらえる保険”といった程度の認識ではないでしょうか?実は、ハローワークで受給申請をする際、退職理由によっては失業保険(失業手当)で損することがあります。退職をする前に、失業保険(失業手当)について正しい知識を身につけておきましょう。

そもそも失業保険(失業手当)とは?支給される目的とは?

そもそも失業保険(失業手当)とは?

失業保険(失業手当)は、何らかの理由で会社を退職した人が、次の仕事先を見つけるまでの手当を国から支給してもらえる制度のことです。正式には「雇用保険」と呼ばれるもので、公的保険制度の一つになります。

支給される目的とは?

失業保険(失業手当)が支給される目的としては大きく分けて2つあり、1つ目は「失業中の生活を維持するため」です。給与の代わりとして手当が支給されます。2つ目は「再就職活動を円滑に進めるため」です。目先の生活のためにアルバイトや単発の仕事を行うと、失業期間が長引くことや再就職先の検討に十分な時間を設けることができません。再就職活動に集中できるように失業保険(失業手当)が支給されます。

失業保険(失業手当)を受給するための条件

失業保険(失業手当)が支給される条件は、退職した際のケースによって異なります。どのようなケースの場合に、受給される条件が異なるのか、詳しい内容を解説していきましょう。

自己都合退職の場合

労働者が自らの意思で退職を申し出てた場合は「自己都合退職」とされます。その中でも「正当な理由なし」と「正当な理由あり」の2つに分けられ、正当な理由の有無によって受給条件が変わります。

■正当な理由なし

「正当な理由なし」と判断される自己都合退職の内容は、転職や起業を目的とした場合の自発的な退職が該当します。その場合の受給条件は、「離職日以前の2年間に、被保険者期間が1年以上あること」です。ただし受給までの期間として、「待機期間7日間満了後、さらに3カ月の給付制限期間」が設けられています。「正当な理由なし」の自己都合退職の場合、すぐに失業保険(失業手当)を受給できないの注意しましょう。

■正当な理由あり

配偶者の転勤に合わせて退職する、家族の介護のために退職する、傷病などが理由で就業を続けるのが困難で退職する、このような場合に「正当な理由あり」と判断されます。その場合の受給条件は、「離職日以前の1年間に、被保険者期間が6カ月以上あること」です。受給までの期間は「正当な理由なし」と異なり、7日間の待機期間満了後、すぐに失業手当の支給が開始されます。

会社都合の場合

解雇や倒産、退職推奨といった非自発的な退職を行った場合は「会社都合退職」となります。その場合の受給条件については、自己都合退職の「正当な理由あり」と同様、「離職日以前の1年間に、被保険者期間が6カ月以上あること」となり、7日間の待機期間満了後、すぐに失業保険(失業手当)の支給が開始されます。

その他

その他のケースとして、定年退職や有期雇用契約の満了など、予め合意されていた事由によって退職する場合があります。この場合の受給条件は、自己都合退職の場合の「正当な理由なし」と同様で、「離職日以前の2年間に、被保険者期間が1年以上あること」となりますが、7日間の待機期間後、すぐに失業保険(失業手当)の支給が開始されます。

失業保険(失業手当)の受給額や受給期間について

失業保険(失業手当)の受給額は、計算式に基づいて決まります。受給額の計算式の考え方や、受給期間についても知っておきましょう。

基本手当日額とは

一日当たりの受給額のことを「基本手当日額」といい、賃金日額(退職前6カ月の賃金合計÷180 ※ただし、年齢によって下限額と上限額が異なる)に、「給付率」という係数がかけられて算出されます。

給付率は賃金日額によって、「81%以上、80%、50~80%、50%、49%以下」の5段階に分かれており、賃金日額が低い人ほど給付率が高くなっています。詳しい計算式はハローワークで訪ねてみるといいでしょう。

所定給付日数とは

「所定給付日数」とは、失業保険(失業手当)を受給できる日数のことを指していて、年齢や退職理由などの条件によって変動します。

自己都合退職とその他の場合は、加入期間が1年未満の場合は失業保険(失業手当)を受け取ることができず、1年以上10年未満の場合で90日、10年以上20年未満の場合で120日、20年以上の場合で150日です。

会社都合退職の場合は年齢と加入期間によって異なり、加入期間が半年以上1年未満の場合で年齢に関係なく一律90日、加入期間が1年以上あれば90日~330日の間で所定給付日数が決まります。

失業保険(失業手当)に関連するトラブル発生のケース

失業保険(失業手当)を受給する際に、発生する可能性のあるトラブルをいくつか紹介していきます。

退職後に雇用保険未加入に気づいた

勤務していた会社が雇用保険の加入手続きを行っていなかったことを、退職後に気づくというトラブルがあります。会社から発行される給与明細の確認や、会社住所を管轄しているハローワークで被保険者資格取得を確認することで、雇用保険の加入状況がわかりますので事前にチェックしておきましょう。

もしも雇用保険に加入していない場合は、さかのぼって保険料をおさめることで加入が認められます。ただし、さかのぼることができる期間は原則2年(2年以上さかのぼれる場合もあります)ですので、勤続年数によっては損をしてしまう場合があるでしょう。

会社都合で退職したのに離職票には「自己都合」と記載されていた

会社によっては、「本人が自己都合退職のほうが再就職しやすいだろう」(転職時に会社都合退職を「解雇」や「退職勧奨」と思われる場合があるため)と考えて、本来は会社都合の退職なのに、離職票には自己都合退職として記載するケースがあります。退職理由に誤りがあるのであれば、会社に離職票の訂正を求めることができますので、離職票の内容をしっかりと確認するようにしましょう。

まとめ

失業中の生活を一時的に補うためや、再就職に専念できるよう支給される失業保険(失業手当)。退職理由や勤続年数によって、受給条件や受給期間が異なるので、自分が損をしないためにも事前に正しい知識を身につけておきましょう。

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