この記事では、退職金制度がある企業の割合や相場について詳しく解説していきます!退職金について知りたい方は参考にしてみてください。
「企業に勤めているのだから退職金は当然もらえるはず」
その考えは、早急に改めることをおすすめします。なぜなら、もし退職金をもらえることを当てにしてその後の生活を考えている場合、もらえなかった時に人生設計が大きく狂ってしまう可能性があるからです。
そうならないためにも、まずは退職金についての正しい知識をしっかり身につけましょう。
退職金は法律で定められた内容ではなく、会社ごとに決めた規則によって定められています。そのため、退職金が発生するかどうかは、会社の規定に従って決定するので、就業規則に退職金などの定めがない場合は、支払いの義務はありません。
そもそも退職金は、長年企業に勤めた方への功労を称える意味で支給される給付制度です。しかし、その他にも会社都合や自己都合での退職、従業員が死亡した際にも支払われるケースがあります。
近年では就業期間が短い方でも退職金を出すという企業も増えていますが、退職金が支給されるのか、支給されても金額はいくらになるのかという詳細については、会社の就業規則によって異なります。
そのため、退職金が発生するのかどうかを知りたい場合は、会社の就業規則を事前に確認しておきましょう。
退職金の支給対象者は、一般的には「正社員のみ」というイメージを持たれがちですが、実際のところ法律によって定められているわけではありません。
そのため、退職金制度を導入する会社は、退職金を支給する対象者や勤続年数などを明確にし、しっかりとした規定を定めておく必要があります。
言うなれば、(労働契約法20条に則り)規定条件は会社側が自由に設定できるので、対象者を正社員のみにすることや、契約社員、パート、アルバイトなども含めることも可能です。
会社に所属する際は、自分がどんな雇用形態なのかを把握した上で、退職金をもらえる対象になっているのかをきちんと確認しましょう。
退職金制度は大きく分けると、「退職一時金制度」と「企業年金制度」の2つに分類されます。その他にも、「前払い退職金制度」というものも存在しているため、まずはそれぞれの退職金の概要について見ていきましょう。
「退職一時金制度」とは、労働者が退職する際に一括して、会社側から退職金が支払われる制度のことです。退職金規定に従って支給されるケースがほとんどであるため、規定内容が変更にならない限りは、労働者に支給されることは保障されています。
「企業年金制度」とは、退職後に一定の期間にわたって、一定の金額を年金として支給する制度のことです。「退職一時金制度」と併用して活用する企業も多いため、どのような扱いになるかは事前に確認を取っておきましょう。
「前払い制度」とは、退職時に支払う退職金を在職中に支払うという制度のことです。通常の退職金は、勤続年数や在職中の給与額によって決定しますが、前払い制度は月々の給与やボーナスに上乗せする形で随時支払っていく仕組みです。
企業としても、退職時に発生する高額な金額を支払うというリスクを回避することができ、労働者にとっても月々の給料が高くなるというメリットがあります。
退職金が発生するかどうかは、自分が勤めている企業の就業規則に、退職金制度があるかどうかで決まります。
◇退職金制度が導入されている企業の割合
従業員数 | 企業の割合 |
---|---|
1,000人以上 | 92.3% |
300~999人 | 91.8% |
100~299人 | 84.9% |
30~99人 | 77.6% |
出典:「平成30年就労条件総合調査」(厚生労働省)
この表からは、規模が大きいほど退職給付(一時金・年金)制度がある企業数割合が高くなっていることがわかります。
退職金の金額については、日本の場合は終身雇用制度が設けられていたことから、感謝の気持ちを込めて勤続年数が長くなるほど、高額な退職金が支払われる傾向にあるようです。
また、上記調査の産業別データは以下の通りです。業種によっても退職金制度が設けられている割合が異なることがわかります。
出典:「平成30年就労条件総合調査」(厚生労働省)
会社の就業規則によって取り扱いが異なる退職金。 平均相場はいくらになるのでしょうか。 ここでは学歴による退職金の相場の違いについて紹介していきます。
学歴 | 退職金 |
---|---|
大学・大学院卒 (管理・事務・技術職) |
1,983万円 |
高校卒 (管理・事務・技術職) |
1,618万円 |
高校卒(現業職) | 1,159万円 |
厚生労働省が発表している「平成30年就労条件総合調査結果の概況」によると、2017年1年間における勤続20年以上かつ45歳以上の退職者がいた企業の退職金相場は、大学卒で1,983万円、高校卒では1,618万円となっています。
企業の就業規則によっても退職金の額は異なりますが、大学卒で入社した方が、退職金の相場としては高い傾向にあるようです。
学歴 | 退職一時金制度のみ | 退職金制度のみ | 両制度併用 |
---|---|---|---|
大学・大学院卒 (管理・事務・技術職) |
1,678万円 | 1,828万円 | 2,357万円 |
高校卒 (管理・事務・技術職) |
1,163万円 | 1,652万円 | 2,313万円 |
高校卒(現業職) | 717万円 | 1,177万円 | 1,650万円 |
学歴別の退職金制度を形態別(※調査条件は上記に同じ)にみると、大きく差が出ることがわかっています。大学卒の場合、退職一時金制度のみは約1,678万円、退職年金制度のみは約1,828万円、両制度併用は約2,357万円という結果です。
一方、高校卒の場合は、退職一時金制度のみは約1,163万円、退職年金制度のみは約1,652万円、両制度併用は約2,313万円という結果です。
退職一時金制度のみと両制度併用されている場合を比べると、1,000万円近い差額があることがわかります。
このように、学歴だけではなく、会社によって定められている退職金制度の形態次第でも最終的な金額が異なります。より多くの退職金を得るためには、月収や年収だけではなく、会社の退職金制度についてもしっかりと把握しておくことが必要でしょう。
自分が勤めている退職金制度は、どのような内容になっているのか気になる方も多いでしょう。調べる方法として就業規則の中に記載されている退職金規定で確認することができます。
ただし、入社した際の退職金規定が全てではありません。退職金規定は、会社の経営状況や社会情勢によって内容が変更されることもあります。退職金規定は定期的にチェックしておきましょう。
退職金は、長年会社に勤めた人を労う形で支払われることが多く、勤続年数が長い人のほうが金額も高くなることがほとんどです。ただし、学歴や退職金制度の形態によっても金額は異なります。
特に退職金制度の形態の違いによっては1000万円近い差額があることも。月収や年収だけではなく、会社の退職金制度についてもしっかりと把握しておきましょう。