「子育てと仕事のバランスを模索して」デザインを学ぶために渡米 試行錯誤の末に見つけたキャリア ~小川理恵子さん・Webist転職インタビュー~

女性にとってキャリアを考え始めるきっかけになるのが、「結婚」と「出産」のタイミング。専業主婦という選択をする方は少なくなりましたが、子育てとの両立を図るために時短勤務に切り替えたり転職したりと、キャリアチェンジをする方が多いのが実情です。先輩女性たちはどんな風に悩み、どんな選択をしてきたのでしょうか。今回お話を伺ったのは、小川さん。1996年に新卒入社した会社でリサーチ業務に3年間携わっていた小川さんは、1999年にデザインを学ぶために渡米します。現地の大学でデザインをゼロから学び、インターン期間を含めた計3年のアメリカ留学を経て、日本のデザイン会社に異業種転職に成功。

その後、出産をし、子育てと仕事のバランスをとるために2度転職。現在は、旅行や飲食、美容・ヘルスケアなどの大手生活情報メディアの運営会社でデザイナーとして活躍しています。海外への留学をはじめ、華々しい経歴をお持ちの小川さんですが、子育てと仕事の両立をずっと模索してきたのだと言います。

今回のインタビューでは、小川さんが転職する際に利用したWebistの担当エージェントである玉野さん、村田さんにもご同席いただき、これまでの経歴や子育てと仕事の両立にまつわる葛藤、転職をする際のコツや今後の展望についてお話を伺いました。

「若いうちしかできないから」デザイン未経験でアメリカへ

▲左からエージェント・玉野さん、小川さん、エージェント・村田さん

――新卒で入られた会社ではデザインには全く関係のない仕事をされていたんですよね。デザイナーになりたいと思ったきっかけなどはあったのでしょうか?

 

小川:最初の就職先ではリサーチのお仕事を3年ほどしていたのですが、会社の30周年で、ロゴやパンフレットを作り直すことになって、私が外部のデザイナーさんや制作会社の営業さんの窓口を担当することになったんですよ。

クリエイティブな方々とお話するうちに「この世界、面白そうだな」と思って、デザインを学ぶためにアメリカに留学することにしました。

玉野:すごい!かなり思い切りましたね!

小川:もう、勢いです(笑)。当時は26歳で、「30歳になったらやりたいことができなくなるから今しかない」と本気で思っていたんですよ。当時は現地の情報もほとんどなかったのですが、どうせデザインを学ぶならアメリカに行っちゃおうと。

ただ、小さいころから絵を描くのは好きで、デザインの勉強はずっとしたいなと思っていたので、個人的には突飛な構想でもなかったんですよね。会社の人にも「本当に行くの?」と心配はされましたが、最後はあたたかく送り出してくれました。

アメリカでは大学に編入してグラフィックデザインを2年間学んで、卒業後にインターンとして現地のデザイン会社で1年間働きました。

村田:アメリカでインターンされたことがあるなんて、改めて華々しいキャリアですよね。

小川:そんなことないんですよ。本当はニューヨークで就職がしたかったのですが、日本人だし、実務経験もないしで箸にも棒にも引っかからなくて。そのタイミングで、2001年の9.11テロが起こって就職どころじゃなくなってしまいました。

それで、当時お世話になっていた大学の教授にお願いをして彼女のデザイン会社で働かせてもらうことになった、というのがインターンの経緯です。教授はまさに華々しいキャリアをお持ちの方なので、いろいろなお仕事を手伝わせてもらえて良い経験をさせていただきました。ただ、小さなデザイン会社だったので、もう少し大きな会社で働きたいと思って、外資系ブランディングコンサルティングデザイン会社の日本支社に転職したのが、2004年のことです。

「子育てをしたい」「働きたい」のハザマで転職を決意

――デザイン未経験からの留学を経て、異業種転職をされたわけですよね。帰国されてからはどんなお仕事をされたんですか?

 

小川:主にCI(コーポレートアイデンティティ)の仕事をしていました。企業やブランドのロゴから全体の世界観をつくるガイドラインまで総合的に扱いましたね。仕事内容も幅広かったのですが、質においても1ミリ単位の調整を求められる環境だったので、今の私のデザインの基礎をつくっていただいた会社だったなと思います。毎日のように残業していましたが、本当に楽しかったんですよね。

その会社には結局11年間勤めて、その間に結婚もしたのですが、生活はほとんど変わりませんでした。ただ、子どもが生まれるとどうしても仕事にだけ時間を割いていられないので、歯がゆさはありました。

玉野:お子さんが産まれてから、ジョブチェンジを検討される方は多いです。

――転職はすぐにされたんですか?

 

小川:いえ、悩んだ結果、まずは正社員からプロジェクト単位の契約に変更してもらいました。とは言え、やっぱり忙しくなってしまって「社員さんよりも私のほうが遅くまで会社にいるな」という状況もありました(笑)。

そんな働き方を3年ほど続けて「どうしようかな」と思っていたころに、子どもの病気が発覚したんです。治療すれば必ず治ると言われたので、今まで以上に子どもに手をかけてあげられる働き方をしようと転職を考え始めました。

――プライベートの話に踏み込んで恐縮ですが、旦那様に「仕事を辞めてほしい」と言われたことはありませんでしたか?

 

小川:それはなかったですね。結婚当初からそうでしたが、私が「働きたい」という気持ちを尊重してくれています。夫は平日すごく忙しくしているので、子育ては私がやらなければいけなくて、そのことで喧嘩になることは多々あるんですけどね(笑)。

でも、部屋が散らかっていても怒らないですし、休日は平日の分まで子どもの面倒を見てくれるので、当時も今も仕事を続けるうえでの精神的な支えにはなってくれています。

仕事の幅を広げるためWebデザインの学校へ

――育児との両立ができる転職を考えるうえで、取り組まれたことがあれば教えていただけますか?

 

小川:週3日程度で時短勤務ができる会社に転職するのが目標ではあったのですが、仕事の幅を広げるために、Webデザインを学ぼうと思って学校に通い始めました。

授業は基本的にオンラインで、月に1回リアルの場で講評をもらえる機会があるという形式だったので、子育ての合間を縫って続けられましたね。PVやCV重視のWebデザインと見た目の美しさ重視のグラフィックデザインは大きく違う部分が多かったので、改めて学んでみてよかったなと思います。

――学校を修了された後は、ご自身で転職先を探されたんですか?

 

小川:そのときはWebistさんではない、別の転職支援サービスの会社さんにお願いしました。知人が利用していた会社だったので、あまり深い考えなしに登録したのですが、その当日に「こんなお仕事がありますよ」と紹介していただいたのが有機野菜をメインに取り扱うネットスーパーのデザイン業務だったんですよ。

そのネットスーパーは昔から一ユーザーとしてファンでしたし、Webデザインの経験を積める環境があれば万々歳という感じだったので、登録から1週間もせずに就職先が決まりました。

村田:Webデザイン未経験で登録してから1週間!あまり多くはないケースですね。

小川:「週3日勤務で10~16時」という厳しい条件も受け入れてくださって、子どもの体調が悪くなって急遽休まなければいけないときも配慮してくださったのもありがたかったですね。

その会社では3年働いて、最終的には週4日、うち週2日はリモート勤務になりました。ただ、私の業務を代わりにやれる方がいなかったこともあって、差し込みのハプニングがあるとどうしても自宅で深夜作業しなければいけなくなるなど、両立が難しい局面も出てきてしまって。

元々目標にしていたWebデザインの経験は積ませてもらえたので、もう少し自分発信で提案できるような働き方がしたいなと思い、Webistさんに登録しました。

「子育て家庭の多い環境」と「同僚の向上心」が働きやすさのポイント

――数多ある転職支援サービスの会社の中からWebistを選ばれたのはなぜですか?

 

小川:すごくしっかりした会社のイメージがありました。最初は登録するのにハードルがあるくらいでした。実際に登録してお会いしてみたら、私なんかの話を熱心に聞いてくださって、この方たちにぜひともお願いしたいなと。

玉野・村田:ありがとうございます!

小川:本当に感謝しています。実はもう一社登録していた会社があるのですが、より親身になってくれたのは圧倒的にWebistさんでしたね。玉野さんが窓口になってくださって、その後に村田さんが企業と引き合わせてくださったかたちです。

玉野:そんな風に言っていただけて、本当にうれしいです……。

――小川さんにお仕事をおすすめするうえで、どんな条件の会社がいいなと思って探されましたか?

 

玉野:小川さんはとても高いスキルをお持ちなので心配はしていなかったのですが、一方で多くの求人募集条件が「週5日・フルタイム」な中、「週4日勤務」「時短」という条件を希望されていたところが少し気にかかるポイントでした。

そこで「何とか週4日勤務にできないか」とクライアントに個別に当たっていったんですね。小川さんにご紹介した会社はお子さんのいる方が多いですし、社風が合いそうだなとも思っていたので、当時担当だった村田にも相談を持ちかけてみました。

村田:生活情報を扱っている会社なこともあって、社員さんでもお子さんのお迎えで早退される方や有休をとる方が多いのも知っていたので、玉野からお話を聞いたとき、私自身もピッタリだなと思って。それで、週4日勤務にできないか先方に交渉してみたんです。

弊社との結びつきが強いこともありましたが、小川さんのスキルを買ってくださって、週4日という条件でマッチングできました。

――働き始めてまだ2ヵ月とのことですが、実際に働かれてみてどうですか?

 

小川:今回すごく良かったのは、Webistさん経由で紹介された方々と同じチームで働けていることですね。リーダーが仕事を分担してくれて、メンバーに何かあったら気軽に相談に乗ってくれる安心感もあります。皆さん向上心があって、スキルや専門性が高い方なので、一緒に働いていて気持ちがいいというか。会社の理解があって、とても働きやすいです。

それから、より広い年齢層かつたくさんの人にアプローチできることにもやりがいを感じます。みんなが目指すところが決まっていて、「デザイナーさんもどんどん意見を言ってください」と言ってもらえるので、単にタスクをこなすだけでない仕事のおもしろみを感じています。

働き方が多様化する時代 自分にフィットするかたちを探して

――貴重なお話をありがとうございました!転職された今、今後のキャリアについてはどのように考えられていますか?

 

小川:まずは子育てと仕事を両立させながら、仕事を継続していきたいですね。これまでは育児も仕事も中途半端になってしまうというフラストレーションがずっとあったので。限られた業務時間の中で最大限のパフォーマンスを出してキャリアを積んでいけたら、また次の目標が見えてくるのかなと思っています。

あとは「こういうデザインをつくって」と言われたものをそのままかたちにするのではなく、コンセプトの段階から伴走して提案するような仕事の仕方をしていきたいですね。まだ働き始めたばかりですが、今の会社はそういったことができる環境だと思っているので。

それから、ライフワークで言えば、若い子の育成も少しずつできるといいですね。

――ご自身でデザイン塾を開かれたりするのもおもしろそうですね!

 

小川:それも面白そうですね。以前、「一緒にロゴをつくろう」という子ども向けのワークショップをやったときは楽しかったですね。お金にならなくてもライフワークとしての活動も少しずつ実施して、“普通”の人でも芸術に触れたり、クリエイティブを仕事にしたりしていいんだよということは小さい子にも伝えていきたいなと思っています。

――小川さんのお子さんにもデザインについて教えてあげる機会もありそうですね。

 

小川:子どもも大きくなってきたので興味を持ってくれて、仕事している横で一緒にデザインを見てくれたりもします。子どもって邪念がないので「どっちのデザインがいいと思う?」って聞いても的確な答えを返してくれるんですよ。「私はこう思う」ってアイデアをくれたり、自分でやりたがったりもしますね。

――最後に、子育てと仕事の両立に悩んでいる方に向けてひとことお願いします。

 

小川:働き方改革の流れもあり、働き方の多様化が進んでいるので、今の自分に合う仕事のあり方を考えてみるのもよいと思います。

また、職場の方々とのコミュニケーションを大事にし、自分の家族の状況などを周りに把握していただくことで仕事がやりやすくなると感じました。家事や育児についても、一人で抱え込まずに家族にも協力してもらうことで、両立を図ることができるのではないかなと思います。

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