WebサイトやWebサービスをビジネスに活用することが当たり前となっている昨今、Web関連の人材需要は高まっていますが、特にプロジェクトをけん引するWebディレクターのポジションは引く手あまたといえます。
Webディレクターへのキャリアを考えている人も少なくないと思いますが、Webディレクターになるためには、どういったスキルが求められるのでしょうか?本稿では、Webディレクターに求められるスキルを13つ厳選して紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。
WebサイトやWebサービスを制作する上で、Webディレクターはプロジェクトをけん引するポジションです。スケジュール遅延やトラブル・アクシデントを発生させず、滞りなくプロジェクトを完遂させるためには、コスト・人員・時間など、限られたリソースを正確に把握し、適材適所に配置しながら、全体の流れや進捗状況を管理しなければなりません。
またプロジェクトの成否は、個々のメンバーの活躍だけではなく、その連携によっても左右されます。チームワークを最大化させるためにリーダーシップをとって立ちまわることもWebディレクターには求められます。
Webディレクターには、「クライアントとの折衝」「要件のヒアリング」「企画のプレゼンテーション」「Webクリエイターへの制作指示」など、コミュニケーションをとる仕事が多くあり、これらのコミュニケーションがうまく取れなければ、プロジェクトに大きな影響を与えてしまいます。
たとえば「クライアントからのヒアリング・折衝」で、その意志や要望を理解できていなければ、いつまでもプロジェクトをスタートさせられないでしょう。意志や要望を理解していても、「Webクリエイターへの制作指示」が的確でなければ、何度も修正が発生、作り直しなどのトラブルになる可能性は高まり、スケジュール遅延にもつながります。
また、プロジェクトをスムーズに進行させるためには、Webディレクターがコミュニケーション上手なだけでは十分ではありません。メンバー同士のコミュニケーションが活発であることも重要です。そうした雰囲気や環境を作ることも、Webディレクターの大切な仕事といえます。
新規にWebサイトやWebサービスを立ち上げる場合、多くは「企画」がプロジェクトの起点となりますが、その「企画」を立てる上で必ず行わなければならないのが「課題抽出」です。
WebサイトやWebサービスには何かしらの目的があり、それを達成するための課題が存在します。クライアントが要望・気づいていることだけではなく、商品・サービスの認知度や優位性、ターゲット情報や競合サイト、市場動向など、様々な観点から課題を抽出していきます。
さらに、抽出した課題をどのようにしたら解決できるか具体案を考えて、WebサイトやWebサービスの「企画」に落とし込んでいきます。
運用中のWebサイトやWebサービスの現状把握・課題抽出を行うのであればアクセス解析ツールの知識・スキルが欠かせません。
ユーザー数やページビュー数、平均滞在時間、直帰率などの基本データはもちろん、機能を使いこなすことにより様々なデータを取得することができます。
現在、様々なアクセス解析ツールがありますが、中でも無料で使える「Googleアナリティクス」は、多くのWebサイトやWebサービスで利用されています。最低限、「Googleアナリティクス」の知識・スキルは身につけておきましょう。
企業がWebサイトやWebサービスを立ち上げるのは、認知向上や登録・販売促進など、何かしらのビジネスにつなげる目的があります。その目的を達成するためには、まずWebサイトやWebサービスの存在を知ってもらう必要があり、そこで求められるのがWebマーケティングの知識・スキルです。
大手企業であればWebマーケティングを専門で担う「Webマーケター」のポジションを置いている場合もありますが、Webディレクターがマーケティングまで担当している会社が少なくありません。たとえポジションが分かれていても、Webマーケターと意思疎通を図るために、最低限のマーケティング知識は持っているべきといえます。
なおWebマーケティングは、様々な手法があります。これらの手法がどのような課題に有効なのか、また運用にかかるコスト・リソースはどのぐらいか、それによりどれほどの効果が見込めるかなど、一通りの基本的な知識・スキルは身につけておきましょう。
WebサイトやWebサービスなどをPRする広告手法として真っ先に挙がるのはWeb広告ですが、最近ではWebとWeb以外の媒体をかけ合わせて宣伝効果の最大化を図るクロス・マーケティングが当たり前となってきました。
つまりWebディレクターがWeb広告に関する知識やスキルを持っていることは当然のこととして、それ以外にテレビやラジオ、新聞、雑誌などの広告知識が求められる局面が増えている、ということです。
特に大きなプロジェクトほどWeb広告単体で動くことはほとんどありません。より大きなプロジェクトに関わり力を発揮したいと思っているのであれば、Web以外の広告知識にも広くアンテナを張っている必要があります。
「企画」というと「アイデアを出す」「新しいことを考える」といった連想をする人も多いのではないでしょうか?たしかに課題によっては、それらも企画業務の一部になりますが、本来は「ある目的を達成するために計画を立てること」を意味しています。
Webディレクターにおける企画力は、クライアントの目的やユーザーのニーズに沿ったWebサイトやWebサービスを実現するプランを立てる力のことです。漠然とした内容ではなく、予算やスケジュール、人員体制など、具体案にまで落とし込む必要があります。
ここで気を付けたいのは、Webディレクターの独りよがりな企画にならないことです。あくまでも個人にとって面白いかではなく、目的・ニーズに沿った企画を立てる力が求められます。
Webディレクターは、提案や報告、情報共有のために「企画書」「プレゼンテーション資料」「見積書」「要件定義書」「サイトマップ」「ワイヤーフレーム」など、多種多様なドキュメントを作成します。
これらのドキュメント作成は第三者に見せることを目的としていますから、「見にくい」「わかりづらい」ものでは意味はありません。しかし、装飾や見せ方にこだわり、時間をかけすぎれば「仕事が遅い」という評価になってしまう場合もあります。
ドキュメントのクオリティとスピードを両立するためには、ある程度の業務経験が必要ですが、スピードだけであれば各種作成ツールの操作テクニックで補うことが可能です。ショートカットキーやテンプレートの活用方法など、各種作成ツールの基礎スキルは身につけておきましょう。
Webディレクターは、クライアントへの企画提案や社内関係部署への稟議など、プレゼンテーションを行う機会が頻繁にあります。当然ながら、どんなに素晴らしいアイデアであっても、相手に納得してもらえなければ意味がなく、Webディレクターにはその目的を達成するためのプレゼンテーションスキルが求められます。
プレゼンテーションスキルは奥が深く、話し方だけではなく、資料の作り方・見せ方、雰囲気の作り方など様々なテクニックがあり、一朝一夕に身につくものではありません。不足しているスキルを補うためには、余裕を持って資料を完成させて、何度も予行練習を行うようにしましょう。
制作段階に入ったら、あらかじめ設定したスケジュールどおりにプロジェクトを進めるために、すべての進行状況を管理、納期を遵守することがWebディレクターのメイン業務となります。
Webディレクターが何もせずともスケジュールどおりにプロジェクトが進行するのが理想的ですが、残念ながらそんなケースはほとんどありません。企画意図とのズレから制作物の作り直しが必要になったり、バグを修正したり、制作スタッフの急病など、何かしらのトラブルやアクシデントが発生するものです。Webディレクターはその都度、制作フローや人員体制の見直しなどの調整をしなければなりません。時には、スケジュールに間に合わせるために内製業務を外注化するなど、追加コストが発生することもあります。大幅な予算調整が必要であれば、クライアントへの再交渉が必要にもなるでしょう。
トラブルやアクシデントを未然に防ぐために立ちまわることはもちろん、発生した際にいかに臨機応変に対応できるか、Webディレクターの腕の見せ所と言えます。
Webディレクターは、設計したワイヤーフレームなどをもとにWebデザイナーに制作指示を出します。その指示が曖昧な場合、Webディレクターのイメージ通りには仕上がらず、結果的に作り直しの発生、スケジュールの遅延にもつながってしまいます。
Webディレクターは実際にWebデザインができる必要はありませんが、上記のような事態を防ぐためにもWebデザイナーがどういった情報を求めているのかは知っておくべきです。そもそもWebデザイナーは、ただ何となくWebデザインを作っているわけでありません。「WebサイトやWebサービスの目的」「ターゲットとなるユーザー」「情報の優先順位」「競合サイト」など様々なことを意識しながらデザインを作り上げていきます。Webデザイナーが求める情報がわかれば、指示は明確になっていくはずです。
またクライアントから簡単なデザイン修正依頼が発生した場合など、自身で対応できれば効率的に業務を進められます。そのためにもPhotoshopやIllustrator、Dreamweaverなど、利用頻度が高いデザインツールの基本操作スキル程度は持っておくべきでしょう。
さらに昨今はビジュアルデザインだけでなくUI/UXも重視されているため、それらの知識についても学んでおいてほうが良いといえます。
Webディレクターに、専門的なコーディングスキルは必要ありません。ただし、クライアントからのちょっとした依頼などに自身で対応できれば、より効率的に業務を進められます。修正レベルのコーディングスキルは持っておくべきでしょう。
プログラミングスキルまで求められることはほとんどありませんが、「WebサイトやWebサービスの機能実装のために、どういった技術が必要なのか?」「必要な記述が抜けていないか?」など、判断できる程度の知識だけでもあれば、対応できる業務の幅が広がり、またエンジニアとのやり取りもスムーズに行えるでしょう。フロントエンドだけでも十分ですが、バックエンドについての知識もあれば、理想的と言えます。
また最近では、Web制作における専門的な知識が無くてもWebサイトやWebサービスを構築・管理・更新できるシステム、CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)を導入する企業が増えています。CMS実装に伴うプログラミングについても理解しておくと活躍の場は広がるでしょう。
近年では、WebサイトやWebサービスの集客手段の一つとして、文章を主体にしたコンテンツをマーケティングに活用する取り組み(コンテンツマーケティング)が一般的になっており、そのコンテンツの企画・編集をWebディレクターが担う場合があります。
企業の規模やサイトの種類によっては、コンテンツマーケティングに専門で取り組む「Web編集」のポジションを置いている場合もありますが、Webディレクターが編集業務を兼任している会社が少なくありません。
実際の文章制作については社内外のライターに依頼するケースがほとんどですが、納品原稿の品質を判断するためには最低限のライティングスキルは持っておくべきと言えます。万が一、ライターが修正対応できない場合もあるため、自身で書き直せる程度のライティングスキルがあれば尚良いでしょう。
Webディレクターに必要な知識・スキルは様々ありますが、職場によってすべてが求められるわけではなく、また必要なレベルも異なります。今の自分の知識・スキルに不安な方や、どのような職場が向いているかわからない方など、プロのエージェントが就職・転職のサポートをします。ぜひ一度Webistにご相談ください。