Webデザイナーになるために資格・検定は必要か?――少しでもWeb業界で働いたことがある人であれば分かると思いますが、実は「Webデザイナーになるための必須の資格」があるわけではありません。実際、資格を持たずに最前線で活躍しているWebデザイナーは多数います。しかしながら「資格・検定をとることに意味がないか」と問われるとそうではありません。今回は、Webデザイナーが資格・検定を取得するメリット、Webデザイナーにおすすめの11の資格・検定を紹介します。
Webデザイナーは業務を遂行する上で「デザインツールの操作スキル」「デザインスキル」「コーディングスキル」などの知識・スキルを求められますが、それらの有無・優劣を採用担当者に提示することは非常に難しいです。経験が豊富であれば、経てきた実績・ポートフォリオによってある程度は伝わりますが、経験の浅い方・未経験の方ではなおさら困難と言えるでしょう。
しかし資格・検定を取得していれば、一定水準の知識・スキルを保有していることを客観的に証明することができます。取得した資格・検定が難易度の高いものであれば、なおさら仕事への熱意や成長への意欲をアピールする材料にもなるでしょう。
Webデザイナーの仕事は大きくは「デザイン」と「コーディング」に分けられますが、実際に行っている仕事の内容は企業やプロジェクト、個人の技能によって様々です。
「Webデザイン」であれば、Webディレクターとともにクライアントとの打ち合わせから参画してデザインコンセプト立案・UI/UX設計などから行う人もいれば、Webディレクターが作成したワイヤーフレームをもとにデザインを行う人や、既存ページの修正・更新デザインのみを行う人もいます。「コーディング」であれば、HTML/CSSコーディングはもちろん簡単なJavaScript・jQuery実装までを行う人もいれば、修正程度のコーディングのみを任されている人や、デザイン専任でコーディングは一切しない人もいます。また当然ながら、デザイン・実装ルールなども一律ではなく、独自の方法を取っている企業もあり、Webデザイナーの業務内容や働き方は十人十色と言えるでしょう。
そこで有効となるのが資格・検定の取得です。Webデザイナーとして必要とされる知識・スキルを、体系的かつ網羅的に学ぶことができます。もちろん中には、既に身につけていた知識・スキルもあると思いますが、学習を通じ理解を一層深めることで、業務のスピード・クオリティアップなどにつなげることができます。
参考:https://www.webdesign.gr.jp/
Webデザイン系資格の中で唯一の国家資格です。資格取得に向けて、Webデザインだけでなく、インターネットに関連する幅広い知識を身につけることができ、検定に合格すると「ウェブデザイン技能士」の合格証書が発行されます。
試験のレベルは1~3級に分かれていて、「3級」は“Webの作成や運営に関する業務に従事している者および従事しようとしている者”であれば誰でも受験することが可能です。2級は、実務経験や学校卒業・訓練校修了(協会が認めたもの)などの受験資格がありますが、それらがない場合にも3級に合格していれば受験が可能になります。Webデザイナーを本業としたい人・する人であれば、2級取得以上を目指したいところです。
参考:https://www.cgarts.or.jp/kentei/about/web/index.html
Webデザインにおいて、一定の条件(コンセプト・日程・予算など)のもとに、コンセプトメイキング・制作・テスト・評価・運用を行うための知識・技術が問われる検定です。国家資格ではありませんが、文部科学省が後援団体で、かつデザインとグラフィックの総合情報誌「MdN」の公認資格となっています。
レベルは、Webサイトの企画・制作・デザインに関する基礎知識の理解をはかる「ベーシック」と、Webデザインに関する専門知識の理解と知識を応用する能力をはかる「エキスパート」の2つがあります。「ベーシック」に合格していなくても「エキスパート」から受験することが可能です。
Webデザインの用語やルール、HTMLやCSSの書式や基本設計など、Webデザインに関する一定レベルの知識を正しく理解しているかを問う試験です。
試験に階級などはなく、受験資格も特にありません。公式サイトに受験対象者として“これからWebデザイナーを目指す学生、社会人の方”という記載もあるように、未経験者または経験が浅い方向けの資格と言えるでしょう。
参考:https://www.sikaku.gr.jp/web/wc/
Webサイト制作のデザイン能力およびWebページのコーディング能力を認定する試験です。レベルは2つに分かれており、HTML5、CSSを用いたWebページのデザインやレイアウト、簡単なコーディングなどを行う知識・スキルが認定される「スタンダード」、ユーザビリティやアクセシビリティを考慮したWebデザイン表現、スクリプトを用いた動きのあるWebページの表示、マルチデバイス対応、新規サイト構築の知識・スキルが認定される「エキスパート」があります。
先にも記載したようにWebデザイナーに求められるコーディングスキルは企業やプロジェクトによって様々で、修正程度のコーディングのみを任される場合や、簡単なJavaScript・jQuery実装までを行う場合もあります。色々な現場で活躍できるようになるためにも「エキスパート」の資格取得がおすすめといえます。
なお「スタンダード」を合格しないと「エキスパート」を受験できない、といったことはありませんので、コーディングスキルに自信がある人は、いきなり「エキスパート」に挑戦してみるのもよいでしょう。
HTML5、CSS3、JavaScriptなど最新のマークアップに関する知識とスキルを認定する試験です。試験のレベルとしては、マルチデバイスに対応したWebコンテンツ制作の基礎スキルを認定する「レベル1」と、システム間連携や最新のマルチメディア技術に対応したWebアプリケーションや動的Webコンテンツの開発・設計スキルを認定する「レベル2」に分かれています。
「レベル1」のコーディングスキルを持っていれば通用する企業・プロジェクトも少なくありませんが、Webデザイナーのスキルの差として分かりやすいポイントとして挙げられるのがコーディングスキルです。さらにWebデザイナーとしての自身の市場価を高めたい人は「レベル2」の取得を目指すとよいでしょう。
なお「レベル2」から受験することはできますが、「レベル2」の認定には「レベル1認定を保持していること」の条件が含まれます。「レベル2」のみに合格しても認定資格は取得できないので注意しましょう。
参考:https://www.sikaku.gr.jp/ns/ps/
世界基準のグラフィックツールであるPhotoshop(R)の活用能力を測定・評価する資格検定試験です。問題の指示に従って、限られた時間内にコンテンツを制作する「操作スキル」と、与えられた指示を正確に読み取り形にする「問題解決力」などを、検定試験を通して習得することができます。
レベルとしては「スタンダード」と「エキスパート」の2つがあり、自身のレベルに応じた試験を受験することが可能です。
未経験・経験の浅い人だけではなく、ある程度経験を積んでいるWebデザイナーの人でも、独自のやり方でPhotoshop(R)を使用しているケースも少なくありません。あらためてPhotoshop(R)の使い方をきちんと学びたい人におすすめの資格です。
参考:https://www.sikaku.gr.jp/ns/il/
Photoshop(R)同様、多くの制作現場で使用されているIllustrator(R)の活用能力を測定・評価する資格検定試験です。Illustrator(R)を使用して、問題の指示に従い新規ドキュメントから1つのグラフィックコンテンツを作り上げる実践的な試験内容です。問題の指示に従って、限られた時間内にコンテンツを制作する「操作スキル」と、与えられた指示を正確に読み取り形にする「問題解決力」などを、検定試験を通して習得することができます。
未経験・経験の浅い人だけではなく、ある程度経験を積んでいるWebデザイナーの人でも、独自のやり方でIllustrator(R)を使用しているケースも少なくありません。あらためてIllustrator(R)の使い方をきちんと学びたい人におすすめの資格です。
参考:https://adobe.odyssey-com.co.jp/outline/cc-ps.html
アドビが認定するPhotoshop(R)の基本的な利用スキルを証明できる国際資格で、合格者には世界共通の「合格認定証」が発行されます。国際資格のため、海外での就業を目指す上でも役に立つ資格となります。
上位資格として、「Adobe認定 エキスパート(ACE)」「Adobe認定 インストラクター(ACI)」があり、現職Webデザイナーであれば「Adobe認定 エキスパート(ACE)」の取得を目指したいところです。
参考:https://adobe.odyssey-com.co.jp/outline/cc-ai.html
アドビが認定するIllustrator(R)の基本的な利用スキルを証明できる資格で、合格者には世界共通の「合格認定証」が発行されます。国際資格のため、海外での就業を目指す上でも役に立つ資格となります。
上位資格として、「Adobe認定 エキスパート(ACE)」「Adobe認定 インストラクター(ACI)」があり、現職Webデザイナーであれば「Adobe認定 エキスパート(ACE)」の取得を目指したいところです。
色に関する幅広い知識や技能を問う検定試験です。レベルは、色彩の理論や法則を基礎から学ぶ「3級」、仕事に応用できる各種技法までを学ぶ「2級」、色彩実務担当者として色彩設計に携わることができる力が身に付く「1級」の3つがあります。すべてについて受験資格の制限はなく、どの級からでもチャレンジできますので、自身のレベルに応じた試験を受験することが可能です。
また3級~1級とは別に、色覚の多様性に関する知識を深める「UC(色のユニバーサルデザイン)級」があります。「ユニバーサルデザインを意識したWebデザイン」ができる一つのアピール要素にもなるので、「UC級」はWebデザイナーにとって取得価値のある検定といえます。
参考:https://www.kentei.org/color/
仕事に役立つ実践的な色彩の知識を学ぶことのできる検定試験です。レベルは、日常から見た色彩に関する基礎的な知識について理解していることを認定する「スタンダードクラス」と、ビジネスにおける色彩の活用事例など幅広い知識を持っていることを認定する「アドバンスクラス」の2つがあります。
「スタンダードクラス」を合格していなくても「アドバンスクラス」から受験することができ、また試験は同日の午前と午後に分かれているので併願受験も可能となっています。
Webデザイナーになるために資格・検定は必要ありません。しかしながら、資格・検定の取得に意味がないわけではありません。
たとえば転職時など、可視化しづらいWebデザイナーの知識やスキルを客観的に証明する材料となります。また、部分的な業務に従事している方や経験が浅い方で「知識やスキルに偏りがある」と感じている方であれば、資格・検定の取得を目指して体系的かつ網羅的に学ぶことで、様々な現場で通用する知識・スキルを身に付けられます。一緒に働くメンバーとの意思疎通に悩んでいる方は、相手側の業務に関連する資格・検定を取得することで、コミュニケーション改善につなげられるでしょう。
今回紹介した11の資格・検定の中には、今の自分に役立つものがきっとあるはずです。積極的にチャレンジしてみましょう。資格・検定の取得を含めて、キャリア相談をしたい方は、ぜひ一度、Webistまでお問い合わせください。